仔牛

 仔牛は日向に
 たってゐた

 細い四足すっきり伸びて
 小さいひづめは繁縷ふんで

 日永、半日
 たってゐた

 青いお目々 は牡丹をみつめ
 黝いお鼻は匂ひにぬれて

 すると日暮れに角が生えた
 空に小さく三日月出てた

作品紹介
 「仔牛」は、昭和10年12月童話を中心とする同人誌「チチノキ」に連載された作品である。早春の日向に「日永、半日たってゐた」仔牛の、しなやかでにおうような美しい姿態が、見事に表出された作品だ。
小品ではあるが、ゆったりした広がりのある作品である。