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| 正坊とクロ
サーカスの公演がはじまり、「さあ、クロ公、出番だ」となったときにクロが腹痛になりました。黒い丸薬を飲ませようとしましたが、口を開きません。正坊がいたら飲むがなあ団長はいうが、正坊は初日のはしご乗りで足をひねって、となり村の病院に入院していました。 早速、正坊をつれてきました。正坊が「勇敢なる水平」を歌うと、クロはヒョコリと立ち上がり、すかさず丸薬を口の中へペロリと飲み込みました。こんなことがあって正坊とクロはいっそう離れられない仲良しになりました。正坊のソコヌケ将軍がクロの愛馬にまたがって団長の盗賊退治をするという舞台では、団長の恐ろしい顔に本気で正坊を助けようと正坊をくわえて見物の中を抜けて外へ飛び出すということもありました。 小さなサーカス団は熱心に村々を回りましたが、実入りは少なくその上馬が病気で死んで大きな痛手をうけてしまいました。まもなく、朝目を覚ますと団長とお千代と正坊の三人を残して他の軽業した地は逃げ出していました。興行を続けることが出来なくなった団長は、サーカスを解散してクロを動物園に売り、正坊とお千代を町のメリヤス工場に住み込ませてもらいました。 一方クロは動物園で毎日力の無い目で空ばかり見上げていました。すると「クロ」と呼ぶ声がし、そして「勇敢なる水平」の曲が聞こえました。クロは、サーカスでしたように歩調を取っておりの中をあるきました。正坊とお千代がはじめての定休日にクロに会いに来たのでした。
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