ガァ子の卒業祝賀会

 登場するのは家畜と周辺の野生小動物。農家の中庭が劇の場面。鵞鳥のガァ子の女学校卒業のお祝いの招待者選別ではじまる。客は九人。犬、猫の夫妻、牛の後家さん、豚の夫婦に鶏。ここまでは難なく選ばれた。家畜は上流階級だから。続いて池の食用蛙土堤のいたちが上がったが、食用蛙はろくに日本語がしゃべれないし気味が悪い。いたちは下層階級であるし、おならをするからと、母が嫌がった。

 招待客が集まり、父の挨拶が始まると、犬が一人客が足りないという。いたち君だと。皆は嫌な顔をするが、いたちは出征兵士、帰還兵士の見送り出迎え、子供日参団の指導、納税組合の仕事、中庭防空団の指導・・・と社会奉仕に懸命だ。いたち君を爪はじきにするのは人道に反すると。猫はいたちが来るなら帰ると言い出したが、鰯の頭のごちそうにつられて止した。いたちはおどおどしながらやって来た。犬は、近頃は方面事業の仕事もしているといういたちに感心していた。

 蛙のフライに、食用蛙は、キリスト教徒の蛙は共食いをしないと言い。ひよこは皿の中にうんこをする。牛の一人娘が女学校に入るということから近頃の学校の問題と。

 臭いにおいがしてきた。いたちが疑われ、皆の非難をあびた。犬さえ、君は確かに偉いよ、しかしちょっとは作法というものを考えなきゃあと。いたちは弁解せずに無作法をわびて帰った。

 ガァ子が帰り道で、免状を落としたという。大事な嫁入り道具をと母はせめる。いたちが拾って届けてくれた。ガァ子は、さっきのおならは君ではなくゴムまりが火に入ったのだと言ったが、いたちは笑っていただけだった。

作品紹介
 南吉が安城高等女学校の時代、昭和15年2月、予餞会で2年が上演するために書かれた。

 農家を舞台に、鵞鳥や牛、豚、犬、猫を配したのは、安城を意識し、いたちは下層庶民を表す南吉好みの配役であり、食用蛙は欧化の文明を表すものである。戦時に向かう時局は、いたちの社会活動に象徴され、学校教育の批評も見えている。これだけ盛り沢山の登場人物や事件をみごとにまとめ、しかも面白く仕上げている手腕は大したものである。

 南吉はチェホフが好きで、その感性、思想、作風に学ぶところが多く、この作品は「桜の園」が下敷きになっている。